英国の小売大手テスコが来年後半にもハンガリーを含む中欧での事業を売却する可能性がある。ハンガリー現地紙『マジャール・イデーク』が14日、ロンドンの消息筋の話として伝えた。テスコは同紙に対し事業売却について否定はしなかったものの、現地ウェブ紙『Portfolio.hu』に対しては同国からの撤退を強く否定した。
『マジャール・イデーク』によれば、テスコは好調な中欧事業からの収益を債務の返済に充てており、負債の解消後に同事業を売却する計画で、同社が昨年来進めている店舗閉鎖などのリストラ策は事業を整理する下準備であるという。一方、ハンガリー政府は2014年に、2年連続で損失を計上した企業は17年には日用品を販売できないと規定する法案を成立させたが、テスコ・ハンガリーは15/16年期は黒字となる見通しだ。同社は13/14年期及び14/15年期は大幅な赤字だった。
同国のラザール首相府長官は先週、エネルギー及び銀行セクターに続き小売事業者についても株式の過半数をハンガリー資本が保有することを目指していると述べたが、『マジャール・イデーク』は政府が株式を買い取る意向を持っているわけではないとの見方を示している。
テスコは『Portfolio.hu』に対し書面で回答し、同社はリストラを完了し体質強化と営業体制の簡素化のための最初の1歩を踏み出したとし、テスコ・ハンガリーが先週発表した総額35億フォリント(約1,100万ユーロ)に上る賃上げなどの一連の措置は、中欧における同社の長期的な目標の達成と営業活動の成功をサポートするものだと述べ、同国での事業の継続を示唆した。(1HUF=0.39JPY)