ハンガリー政府、バス製造業界支援に最大350億フォリント

ハンガリーのヴァルガ国家経済相は10日、バス製造業界の支援に今後3年間で総額300億~350億フォリント(約9,600万~1億1,200万ユーロ)を投じる計画を明らかにした。国内メーカー6社を対象に生産拡大、雇用増加を図る狙い。国内生産台数を3年後に1,000~1,200台に引き上げたいとしている。

ただ、バス製造業界支援策については、オルバン政権の「縁故主義」が背景にあるとうわさされている。政府はブダペストでの大型需要などを機にバス製造業界の再建を図ると説明しているが、業界企業には首相に近い人物が関わっているのだ。

オルバン首相の右腕として知られるマトルチ中銀総裁の従兄弟が出資するエンジニアリンググループ、エヴォプロは、バスメーカーのマビ・バスを傘下に持つ。このマビ・バスが、老朽化のため近代化工事の着工を控えるブダペスト市営地下鉄M3号線の代替交通手段の調達に突如顔を出した。

同市交通公社は当初、ポーランド・ソラリスのバス150台を調達する予定だった。価格・納期などの条件でソラリスの提示案が他社に優っていたためだ。しかし、購入に必要な政府融資条件が変更されたために、すべてを発注することは不可能になった。結果として、半分の75台をソラリスから、残りをマビ・バスからノックダウン部品として購入することとなった。しかし、価格はソラリスの完成車の方がマビ・バスの部品よりも安い。(1HUF=0.38JPY、東欧経済ニュース2016年5月4日号「ハンガリーの老舗バスメーカー、国内競合が吸収合併」を参照)

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