英豪系鉱山会社ヨーロピアン・メタルズが、チェコのボヘミア北部に欧州最大規模のリチウム鉱床が存在する可能性があるとの見通しを明らかにした。6月27日付の現地紙『ウィークリー・リスペクト』が報じたもので、電気自動車(EV)のバッテリーなどに欠かせないリチウムの資源開発が進めば同地域の繁栄につながると期待されている。
ヨーロピアン・メタルズによると、鉱床があると見られるのはボヘミア北部のチノヴェチ村近郊で、予想埋蔵量は33万トン。同地域のクルスネ山近郊では1990年代まで鉱物が採掘されていたが、採算が取れないことを理由に採掘が中止された。その後、2010年になって、のちにヨーロピアン・メタルズに買収されるGeomet社が環境省の承認を得て地質調査を再開していた。同地のリチウムの濃度は0.2%と低いが、ヨーロピアン・メタルズはEV等による需要の高まりを期待して生産に乗り出すべくパートナーを探している。
2015年に炭酸リチウムの市場価格は3倍に跳ね上がり、今年1-3月期には1トン当たり6,000ドルに達した。しかし、将来の価格の動向には不透明感が漂う。豪州や中南米に鉱床を持つ大手4社が市場を独占している上、埋蔵量などの情報を公表していないためだ。リチウムの採掘コストは最も安いアルゼンチン、ボリビア、チリで1トン当たり2,000ドルとなっている。
ヨーロピアン・メタルズのヤノウト氏は、チェコの産業界に協力を打診したがいずれも拒否されたと述べた。同氏はまたチノヴェチでの採掘開始は22年になるとの見通しを示したが、開始時期は他の要因にも左右されると付け加えた。
欧州には同国の他、セルビアのヤダルにもリチウムの大規模鉱床がある。