ロシアと中国が民間旅客機の開発協力を進めている。2014年に両国首脳が大型長距離旅客機の共同開発で合意して以来、両国のメーカーが協力して開発を進めており、早ければ2021年には完成する見通しだ。しかし、ボーイングやエアバス社の大型機と競合できるのか、また、民間機に必要とされる経済性や信頼性などを満たせるのかなどの点で疑問の声も上がっている。6月28日付の独日刊紙『ヴェルト』が伝えた。
大型機の開発は2014年にロシアのプーチン大統領が訪中した際に合意されたもの。プロジェクトに参加するのはロシア国営UAC(統一航空機製造会社)と中国商用飛機(COMAC)の両メーカーで、ボーイング「787ドリームライナー」やエアバス「A330」及び「A350」と競合する大型の双発機を開発する。昨年2月にUACが明らかにしたところによると、プロジェクト総額は130億ドル。資金は両サイドで折半するが、中国側がロシア側に対し低利融資を行うことで昨年合意が成立している。
露メディアによれば、機体はロシアの「イリューシンII-96」をベースとして開発する予定。旅客定員は250~280人、航続距離は1万2,000キロメートルで、エンジンはロシア側が供給する。この程訪中したロシアのロゴージン副首相は、最大推力35トンのエンジンの開発を開始したことを中国側に伝えたと述べた。
UACが昨年2月に明らかにしたところでは、機体の完成は2021年、形式認証の取得が22-23年、生産開始が25年となる予定。しかし専門家は、市場投入までに少なくとも10年はかかるため実際には早くとも30年になると予想している。
航空機エンジン市場は米ゼネラルエレクトリック(GE)、英ロールスロイス及び米プラット・アンド・ホイットニーが独占している。民間機ではコスト、信頼性、環境への影響及びメンテナンスが重視されるため、西側諸国ではロシアによる大型民間機用エンジンの生産に対し懐疑的な見方もある。
中露両国はこの他にも大型ヘリコプターの共同開発で昨年5月に合意している。ロシアはここでもエンジンの自主開発を目指しており、従来のウクライナ製エンジンを代替する計画だ。