トルコ政府が20日、クーデター未遂を受けて非常事態を宣言したのを機に、同国株価と通貨リラ相場が大きく低下した。米スタンダード&プアーズ(S&P)による格下げが追い討ちをかけた。リスク拡大を受けて、国債利回りや貸し倒れに備えた保険的金融商品である「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」も高くなっている。
イスタンブール証取の主要株価指数であるISE100種指数は21日、71,595ポイントと過去5カ月で最安値をつけた。クーデター発生前に比べると13.6%も値を下げたことになる。
通貨リラの対米ドル為替相場は14日の2.8782リラから20日夜には3.0898リラ(6.8%安)まで下げ、過去最安値を記録した。対ユーロでも6.3%安の1ユーロ=3.4042リラを付け、過去最安値に近づいた。
期間5年のCDSは14日の224.76ベーシスポイント(bp)から20日夜には298.6bpまで上昇した。
スタンダード&プアーズ(S&P)は20日、トルコの外貨・国内通貨建て信用格付けをそれぞれ1段階引き下げ、「BB」および「BBプラス」とした。以前から「投機的」水準に位置付けていたが、さらにリスクが高まったと評価した形だ。見通しも「ネガティブ」と、新たな格下げの可能性を示唆している。
フィッチ・レーティングスも22日、トルコの長期債務格付けを「BBB」から「BBBマイナス」へ1段階引き下げた。これは投資適格級で最低の評価。見通しは「安定的」で、近い将来の見直しはなさそうだ。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスも18日の時点で格下げを検討すると発表しており、トルコの借入れ条件は厳しくなりそうだ。(1TRY=34.85JPY)