ロシア連邦独占禁止局(FAS)は先ごろ、米アップルをスマートフォン「アイフォン」の販売における価格操作の疑いで捜査を開始したことを明らかにした。FASは国内のアイフォン販売業者16社が、「アイフォン6S」及び「アイフォン6Sプラス」などの機種を昨年10月の発売開始以来同一価格で販売していると判断。それに対しアップルは価格操作を否定する声明を出した。
関連する販売業者にはMTS、M.Video、Beeline、エルドラド、Euroset、メディア・マルクト、Citilinkとアップルの公式販売店Re:Storeなど通信事業者や電子機器販売店が含まれる。FASの反カルテル捜査課長テニシェフ氏は、各社の価格差は10ルーブル(約0.15ドル)に過ぎないと述べ、アップルに課徴金を課す可能性があることを示唆した。
リディングス法律事務所のゼレーニン氏は、FASが共謀でなく価格拘束でアップルを告発するには多くの証拠を集める必要があると述べた。共謀を認定するにはFASが経営者、会議録、会合出席者の証言といった証拠を集める必要がある。一方価格拘束とするには、FASは価格拘束がアイフォン市場の競争を制限していると証明する必要がある。
テニシェフ課長は詳細については明らかにするのを避けたが、FASは経済的な影響に関する分析など多くの証拠を持っていると話した。また販売価格の調整を今後停止した場合でも、アップルは違法性を免れることはできないが課徴金を減額することはありうると述べた。
クルコフ・コロティロフ・アンド・パートナーズ法律事務所のコロティロフ氏は、競争法違反と認定されれば、アップルには100万から500万ルーブルの課徴金が課される一方、販売店が価格拘束に合意するか調整に関与していれば販売店に対し、アイフォンの販売収入の最大15%の課徴金を課されることになると述べた。
FASによれば、今回の捜査開始は消費者からの摘発が端緒となった。これまでのところ5つの販売事業者がアップルとの販売契約には販売価格に関する要件や条件は含まれていないとし、疑惑を否定している。(1RUB=1.58JPY)