欧州復興開発銀行(EBRD)のチャクラバルティ総裁は19日、ブルガリアが天然ガス輸送の中継地点(ハブ基地)を整備する事業に対して、金融支援を行う方針を示した。同プロジェクトの事業費は15億ユーロと推定されている。
ブルガリアはロシアの天然ガスパイプライン「サウス・ストリーム」敷設計画が中止されたことを受け、パイプラインの上陸地点に想定していた黒海沿岸のヴァルナの近郊に、貯蔵・輸送基地「バルカン」を開設する計画。同時にルーマニア、ギリシャ、セルビア、トルコとガス網を連結する計画も進めている。ロシア、カスピ海で産出される天然ガスを南東欧、中欧に輸送する際の中継地としての地位を築くのが狙いだ。調達先多様化の観点から、欧州連合(EU)の欧州委員会もプロジェクトを支援している。
ただ、「バルカン」がハブ基地として十分に機能するためにはロシアからの天然ガス調達が不可欠だが、現時点では交渉の端緒もつかめていない。ロシアは「サウス・ストリーム」が、エネルギーの生産・供給事業と輸送事業の分離を定めた欧州連合(EU)ルールに違反するとして中止に追い込まれたことを引き合いに、「ブルガリアのプロジェクトがEUのルールに抵触しないという確信が持てない限り、供給交渉には応じない」という立場だ。