オーストリア金融大手ライファイゼン中央銀行(RZB)は5日、中東欧子会社RBIと合併する計画を発表した。自己資本比率を引き上げるとともに、グループ組織の透明性を高めるのが狙い。12月23日までに計画の詳細を公表し、来年1月23~24日の臨時株主総会で承認を求める。順調に行けば4月1日付で新会社が発足する。
RZBの中核的自己資本比率は10.6%。欧州銀行監督機構(EBA)による最新の健全性審査(ストレステスト)では景気失速時に6.1%まで下がると予測され、改善が求められていた。
子会社でありながらRZBの10倍の規模があるRBIの自己資本比率は12.2%に上る。合併によって、RBI資本をRZB資本に算入する際の制約がなくなり、新会社の自己資本比率は11.3%になる計算だ。RZBは来年末までに12%以上に引き上げる目標を掲げており、今回の合併は実現に向けた大きな一歩となる。
合併にともない、RZBの株式資産(売却予定の保険会社ユニカ株を除く)は新会社に移管される。これにより、新会社に対する現RZB株主の出資比率は現行の60.8%から64.3~65.4%へ上昇する。
計画承認には株主総会で75%の賛成が必要となる。少数株主の出資比率は39.2%で、計算上は否決もありうるが、RZBでは「その可能性は小さい」とみている。
なお、ライファイゼン・グループは組織の複雑さが問題視され、さらなる再編が避けられないとみられている。これについてRZBは、「さまざまな可能性を検討しているが、現時点では(今回の合併以外に)具体化しているものはない」とコメントしている。