スロベニア政府は14日、国営自動車部品メーカーのツィモス(Cimos)を伊投資会社パラディオ・ホールディング・グループ傘下のTCHコジェメに1億1,000万ユーロで売却した。来年1-3月期の手続き完了を見込む。TCHコジェメはその後、生産近代化に向けて2,000万ユーロを投資する。
ツィモスは数十年にわたり、スロベニアの主要輸出企業の一つだったが、2008年の金融危機で大きな打撃を受け、自力での再建が難しくなっていた。2013年、国の支援を受けた再建計画がスタートし、昨年、1億6,900万ユーロ規模の債務株式化を通じて、不良債権受け皿機関(バッドバンク)である銀行資産管理会社(DUBT)の管理下に入っていた。
DUBTは、売却収入のほとんどはツィモスの債務履行に充てられるとした上で、今回の民営化がツィモスの「長期的な経営安定をもたらす」と期待を示した。また、同社がスロベニア製造業界における重要企業の一つであり、同社の経営好転が経済全体への波及効果があることを指摘した。
ツィモスはスロベニア政府が2013年6月、欧州経済危機後の景気回復策として民営化を決定した15社のうちの一つ。従業員数約2,000人を擁する。売却前の出資構成はDUBTが47.5%、スロベニア国家資産ホールディングが24.26%、新リュブリャナ銀行(NLB)が9.44%、ゴレンスカ銀行が5.74%、アバンカ・ヴィパが2.42%、新マリボル信用銀行(NKBM)が2.2%、スロベニア輸出開発銀行(SID)が0.74%だった。