ポーランド、自動車関連の投資続く

ポーランドでは自動車メーカーや自動車部品メーカーの投資計画が相次いで発表されている。現地に既に進出している伊フィアットが工場を拡張する他、独ダイムラーが同社初の工場を開設する。またマブチモーターも現地生産に乗り出すことを計画している。トヨタは欧州でのハイブリッド車(HV)の販売比率引き上げに向けて主要部品であるトランスアクスルの生産を同国で開始する他、電気自動車(EV)市場の拡大を見込んで韓国の電子機器大手LGがバッテリー工場を開設しようとしている。

独ダイムラーは10月初旬に同国初となる工場を建設することでポーランド政府と合意した。建設予定地は南西部ヤヴォルにある経済特区で、投資額は5 億ユーロ。新型の4気筒ガソリン及びディーゼルエンジンを生産する。ドイツ国外にある同社のエンジン工場としては北京に次ぐ2番目。関係者の話としてポーランド現地紙が報じたところによると、政府が約1,900万ユーロを助成する予定だ。

建設計画を進めるのは新たに設立された現地法人のメルセデス・マニュファクチャリング・ポーランド。同社によれば新工場はインダストリー4.0の生産技術を導入した最新のものとする計画だ。着工は2017年初頭、生産開始は19年が予定されている。年間生産額は5億ユーロに達する見通し。

一方、南部ビェルスコ・ビャワでは、伊フィアットと米クライスラーの合弁会社フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が2億5,000万ユーロをかけて工場を拡張することが計画されている。現在、0.9リットル4気筒ガソリンエンジンと1.3リットルディーゼルエンジンを合わせて年間40万基生産しており、FCAの他、独オペルやインドのタタ自動車に供給している。2018年からは3気筒1リットルエンジンの生産を開始し、19年からは4気筒1.3リットルのガソリンエンジンをFCAのエンジンブランドFireFlyとして供給する予定だ。

トヨタも新しいガソリンエンジンを生産する。南西部のイェルツ・ラスコビツェ工場ではトヨタ・モーター・インダストリーズ・ポーランド(TMIP)が1.4リットル、2リットル及び2.2リットルのディーゼルエンジンを生産してきたが、2017年の4月からは小型車「ヤリス」向けの1.5リットルエンジンの組み立てを開始する。さらに19年後半からは2.0リットルエンジンも生産する予定だ。また同じく南西部にあるヴァウブジフ工場では、英国で生産されている小型車「オーリス」とトルコで組み立てられているクロスオーバーモデル「C-HR」のHVモデル向けのトランスアクスルの生産を18年に開始する。同時にHV用トランスミッションの開発センターを開設する考えだ。

トヨタではHVの重要性が増している。同社は欧州でのHVの今年の販売目標を30万台に置き、新車登録台数の約3分の1を占める予定だ。将来的に欧州におけるHVの販売比率を2020年までに現在の約30%から50%に引き上げる目標を掲げている。

また自動車部品関連メーカーもエレクトロモビリティ(eモビリティ)市場の拡大に対応しようとしている。LGは10月初頭、南部のコヴィエジチェにバッテリー工場の建設を開始した。投資額は3億ユーロ。タルノブルツェグ経済特区に位置する同工場は2017年の4-6月期から最大航続距離300キロメートルの能力を持つリチウムイオンバッテリーを年間10万個生産する予定だ。

イタリアの自動車ブレーキメーカー、ブレンボは中南部のドンブロヴァ・グルニチャ工場に1億ユーロを投じて2万2,000平方メートルに拡張する。これにより3本目の鋳造ラインと12の加工センターを新設する。

マブチモーターは今年11月、南部のマウォポルスカに現地法人を設立する計画を明らかにした。同社初の欧州生産拠点で、2019年冬から400人を雇用し自動車電装用小型モーターを製造する。23年の完工までに8,500万ユーロを投じ、年間1,600万個を生産する体制を整える予定だ。

スペインの樹脂部品メーカー、インダストリアス・アレグレは、約2,200万ユーロをかけてタルノブルツェグ経済特区に工場を建設する。同特区の発表によると、2018年からフル稼働に入り、米フォードの小型車「フィエスタ」と「フォーカス」の新モデル向けの部品を生産する計画だ。

西部ジェロナ・グラのコストルジン・スルビツェ経済特区にはドイツのイデアル・オートモーティブが1,360万ユーロをかけて工場を建設し、2018年から自動車用内装カバーを生産する。新工場では500人を雇用する予定だ。

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