エストニアで木材関連産業の投資相次ぐ、セルロースの大規模工場も

エストニアで木材関連産業の投資プロジェクトが相次いで計画されている。同国の製造業における木材及び製紙関連産業の比重は20%に上り、2万人近くを雇用する重要な産業となっている。企業は廃棄物を利用したリサイクルや廃熱利用を行うなど、環境に配慮した生産工程を取り入れている。

同国の投資グループ、エスト・フォー・インベストは先ごろ、10億ユーロを投じて国内にセルロース工場を建設する計画を明らかにした。200人を雇用する新工場では木材を用いてセルロースを年間70万トン生産する予定だ。生産過程で生じるリグニンやヘミセルロースといった廃棄物は焼却せず、生物精製所(バイオリファイナリー)で加工することを計画している。今回のプロジェクトは産業関連ではエストニアで過去最大規模となるもので、同グループによると新工場の生み出す年間の付加価値額は2億1,000万ユーロから2億7,000万ユーロに上る。これは2015年の同国の国内総生産(GDP)の1%から1.4%に相当する。将来的にはより付加価値の高いセルロース製品を生産し、国外への輸出を目指している。同工場の開設はセルロース加工設備を生産する事業者やバイオ製品を扱うリサイクル事業者にとっても新たなビジネスチャンスとなる見通しだ。

また西部のペルヌにはフィンランドの木材加工企業メツェグループが5,500万ユーロをかけてべニア工場を建設し、200人を雇用する計画だ。生産開始は2018年を目指している。同じフィンランドの同業UPMは南部のオテペーエに持つ工場の拡張工事を先ごろ完了した。4,000万ユーロをかけた今回の投資で燃焼炉を強化し、工場から出る木材廃棄物を燃料として再利用するシステムを取り入れた。

エストニアの製紙・セルロース生産及び木材・木材加工産業では1万8,400人が雇用されており、製造業の20%に相当する付加価値を生み出している。そのうち木材加工が生産額の89.7%を占める。セルロース生産企業には同国最大のエストニアン・セルの他、4つの企業がある。また製紙業では56の企業が1,400人を雇用し、総売上高は2億1,330万ユーロに上る。

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