食品に「東西格差」?―中欧

ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーの中欧4カ国が、大手食品メーカーと欧州委員会に「食品の東西格差」の解消を求めている。スロバキアとハンガリーで行われた調査で、同じブランドの製品でもオーストリアで売られているものの方が質が高いという結果が出たというのがその根拠だ。食品業界からは「同一工場から出荷しており、製品に違いはないはず」という戸惑いの声や、「西欧でも各国消費者のし好に合わせて違う場合がある」と「東西」が理由ではないとの声があがっている。

スロバキアのマテチュナー農相によると、同一ブランドの製品22種を調べたところ、10種で差がはっきりと出た。魚や肉の含有量が少なかったり、脂肪・糖・保存料の種類や量が異なったりしたという。

また、ハンガリー食品安全当局(NEBiH)によると、やはりオーストリアでも売られている24種を調べたところ、味や食感が劣っていたり、同一パッケージなのに量が少ない、といった問題が見つかった。具体的には◇コカ・コーラは味の深みやコクが足りない◇ヌテラ(ココア入りヘーゼルナッツスプレッド)はクリーミー感が弱い◇ネスクイックは味が薄く、バランスも悪い◇クノール・スープは同一包装なのに量が約2割少ない――などを挙げている。

NEBiHではこの結果を受けて、さらに100種について調べる予定だ。

中欧諸国が突然、「食品格差」を持ち出してきた背景として、欧州連合(EU)および自国民の注目をひき、かつ自国経済を支援するという政治的思惑が推測されている。スロバキアのマテチュナー農相がメーカーに「消費者を2つの階級に分ける」ことをやめるよう警告すると同時に、国民には「国産品を買う」よう促しているからだ。

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