高級レコードプレーヤーを手がけるチェコのSEVリトヴェルが急成長している。昨年の生産台数は12万8,425台と、2009年の4倍に拡大。従業員も過去4年で400人へ倍増した。「成長がいつまで続くかわからない(メンチ社長)」好調さを受け、今年、1億8,000万コルナ(720万米ドル)の新工場を開所したばかりだ。
同社は1999年、国営電機メーカー「SEV」の設備を受け継いで創業した。欧州映像・音響協会(EISA)のハイファイ賞をたびたび受賞している「高品質の割に安い」お得感を武器に、英米、豪州市場などへ出荷している。
SEVリトヴェルのターンテーブルはベルト稼働の音楽鑑賞用だ。自らの設計に基づき、部品を丁寧に手作業で組み立てる。部品もほぼすべて自社内で生産しているという。販売価格200~1万ドルで、300~400ドルが売れ筋だ。
販売会社の墺プロ・ジェクト・オーディオシステムズのリヒテンエガー社長はレコード鑑賞人気について、「ワインを味わうようなもの」と話す。「曲が終わる前に次の曲に飛んだりせず、最初から最後まで通して聴く。レコードは扱いに注意が要るし、ほこりを拭いて手入れしなければならない。」時間をかける贅沢、スローライフにつながる、というのだ。
また、プロ・ジェクトのプレーヤーをチェコで販売するアコースティク・クオリティーのモトリチェク氏は「音質の良さ」を理由にあげる。デジタルプレーヤーとは「比較にならない」と自信たっぷりだ。(1CZK=4.44JPY)