チェコ経済、専門労働力確保が課題

ドイツ・チェコ商工会議所(DTIHK)が先ごろ発表したアンケート調査で、チェコで事業を行う企業の60%以上が同国経済の現状はかなり良好だと見ていることが分かった。しかし、年間を通して見ると経済が現状以上に改善するとの見方は全体の4分の1に過ぎず、60%以上が現状維持にとどまるとの予想だ。同調査では、進出先としての魅力という点では中東欧で1位となったものの、コストの上昇と人材難の問題が浮き彫りになった。企業の4分の1が前年比8%以上の給与の上昇を予想している他、専門技能を持つ人材の不足を訴える企業が多く、政府による職業訓練システムの改善などが求められている。

過去13年間を見ると、企業のチェコ経済の現状に対する認識は、楽観的な見通しが主だった2004年の欧州連合(EU)加盟時に比肩するほど良好だ。当時は64%の企業が経済は良好だと答えていたがこれは2017年と全く同じ数字である。

一方、今年の景気上昇に関する企業の予想は控えめだ。景気が現状よりよくなると回答したのは26%のみで、62%の企業は現状のまま推移するとの見通しを持つ。現状より改善するとの見方は2014年の41%から年々減少してきた。DTIHKのバウアー氏は「経済の現状が良くなればそれだけ大きな期待はしなくなるものだ」と話す。

企業が今後の景気について控えめに評価する理由の1つは高騰する賃金だ。4分の1の企業が賃金は8%以上上昇すると見ている他、企業の半数が3~8%の上昇を予想する。

同調査からは賃金以外にも、専門技能を持つ労働者の不足という深刻な問題があることが浮かび上がる。項目ごとに企業の満足度を数値化しそれぞれを比較した場合、「専門能力のある労働者の供給」が最下位の21位となった。実践的な側面が不足しているとされるチェコの職業訓練システムは17位だった。DTIHKのロマン副会頭は、短期的には労働市場の要請に合わせて30万人から40万人の失業者の再教育を行う必要があり、場合によっては外国人労働者が必要になると指摘。政府は労働市場に関し早急に対策を取るべきだと話した。

一方、チェコは中東欧の産業立地ランキングでは16カ国中トップであり、ポーランドやスロバキアを上回る。同調査からは、投資家は同国がEU加盟国であることや、国内に良質で十分な部品産業を抱えていることが利点だと見ていることがわかる。経済政策の予見可能性と労働者の生産性及び生産能力も高い評価を得ている。

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