ロシアでの商用トラックの販売が急増している。同国における3月の新車販売台数は前年比で約40%増加し、3カ月連続で20%を上回る伸び率となった。1-3月期では32%増の約1万3,000台を販売した。背景には景気の回復や為替の安定などの要因の他、小売流通市場の拡大に伴う輸送需要増や輸送サービスの質向上を図る輸送業者の動きなどが指摘されている。
同国の自動車市場調査会社Autostatによると、3月の商用トラック販売台数は前年比39.8%増の5,457台となった。2桁の伸び率は1月の25%増、2月の28%増に続くもので3カ月連続。市場の30%以上を抑える同国最大手のカマス(Kamaz)は1.5%増に留まったが、同じく同国のガズ(GAZ)は10.4%増となった。ルーブル高により外国勢の伸びが特に著しく、販売台数3位の独メルセデスやスウェーデンのスカニアは販売台数を前年の数倍にまで伸ばしている。
同国のビジネス情報誌『Expert』に寄稿するグラマチコフ氏は商用トラックの販売増について、景気の回復を背景として企業の借り入れが容易になっていることや為替の安定といった要因があると話した。2016年のロシアの国内総生産(GDP)成長率は0.3%で、2015年の3.8%減からプラスに転じた。ロシア中央銀行と経済発展省は今年の成長率を1.5~2%と予想している。
同国の物流企業ナヴィニア・ルス(Nawinia Rus)のザイネトディノフ最高経営責任者(CEO)によると、販売増は物流関連企業が車両の更新をこれ以上待てなくなったためだと指摘する。背景には輸送需要の増大やサービスの質の向上を図る必要性が高まっていることなどがある。
同国の運輸大手FMロジスティックスのパブロフ氏は、今後の経済情勢に対する楽観的な見通しとそれによる消費者市場の拡大を考えると、運輸業界の現在の供給能力では増加する需要に対応できなくなるとの見方を示した。アナリストや業界関係者は商用トラックの需要の伸び率は今後も高い水準で推移するとしており、2017年は通年で20%から30%の販売増を見込む。
マグニト(Magnit)及びX5リテールグループなど食品小売大手は近年売り上げを急速に伸ばしている。こうした状況を背景に、イタリアの商用車大手イベコはこの数カ月間で食品小売大手ディクシに約1,000台、同X5リテールグループに300台、モスクワの宅配大手アウトラインに500台納入することを相次いで決めている。
同国の自動車市場は商用トラック以外でも回復の兆しを見せている。同国の欧州ビジネス協議会(AEB)によると、2016年に前年比11%減だった乗用車及び小型商用車の販売台数は今年に入り増加基調に転じており、3月には前年同期比で9.4%の大幅増を記録した。