チェコ統計局(CSU)が5日発表した2017年1-3月期(第1四半期)の手取り平均賃金(月額)は名目ベースで前年同期水準を5.3%上回った。これは2008年の金融危機以来で最大の伸び幅。実質では2.8%増加した。中央値は2万3,704コルナ(約899ユーロ)だった。
賃金上昇が加速したのはチェコ経済の好調と人手不足によるもの。4月の失業率は3.2%と欧州連合(EU)加盟国中で最低となっている。
地域別では首都プラハが3万6,194コルナ(1,370ユーロ)で最高。最低は西部カルロヴィ・ヴァリ県の2万3,807コルナ(903ユーロ)だった。業界別では飲食・宿泊業が11.8%と最大の伸び率を示したが、平均賃金は1万7,000コルナ(645ユーロ)に満たず、低賃金であることには変化がなかった。
今後についてコンサルティング大手デロイトのアナリスト、ダヴィド・マレク氏は、上昇のテンポが落ちると予想する。「チェコは輸出国であり、この調子で賃金が上昇すれば競争力が維持できなくなる」という理由からだ。
一方、輸出動向に影響するもう一つの要因である為替相場はコルナ高の傾向にある。中央銀行は4月にコルナ高を防ぐ介入措置を撤廃しており、5日のコルナの対ユーロ相場は1ユーロ=26.3コルナまで上昇した。
アナリストはコルナ高が今後も続くと予想しており、現地調査会社ネクストファイナンスのシフタジョヴァー氏は「遅くとも7月末までに1ユーロ=26コルナを突破する」とみている。(1CZK=4.72JPY)