マケドニアで新政権発足、政治的混乱収拾の第一歩

政治的混乱の続くマケドニアで5月31日、社会民主同盟(SDMS)他2党から成る連立内閣が議会の承認を受けて発足した。前政権の汚職・職権乱用疑惑の発覚から2年、議会選挙から約6カ月を経て、ようやく成立したもので、政情安定化に期待がかかる。一方で課題が山積しているのも確かで、政治のかじ取りは難しくなりそうだ。

新首相には社会民主同盟のゾラン・ザエフ党首(42)が就任。同党のほか、アルバニア系の少数政党である統合民主同盟(DUI)とアルバニア人連合が連立する。また、アルバニア系のベサ運動が閣外協力する。

マケドニアでは2006年以来、中道右派・民族統一民主党(VMRO-DPMNE)のグルエフスキ党首を首班とする連立政府が政権を握っていた。2014年選挙で与党連合が勝利したのに対し、野党が不正操作があったと主張し、議会をボイコットしたのを機に、国内の政治勢力の対立が先鋭化。15年2月に社会民主同盟がグルエフスキ氏を始めとする政府中枢の不正行為を示す盗聴記録を公開したことで混乱はさらに深まった。

欧州連合(EU)の仲介でグルエフスキ氏の辞任、議会選挙の実施が決まったが、選挙実施は当初予定の16年4月から12月までずれこんだ。選挙の結果、民族統一民主党は第1党の座を維持したものの、連立に応じる政党がなく、第2党の社会民主同盟が少数政党2党と連立する方向となった。それでも民族統一民主党に近いジョルジェ・イワノフ大統領が「連立協定にあるアルバニア語の公用語化がマケドニアの統一性を脅かす」として組閣命令を出すことを拒否。米国やEUの強い圧力を受けて、ようやく先月中旬、組閣を認めた。このため、新政権の樹立まで選挙から半年を要した。

ザエフ新首相は、前政権が骨抜きにした司法、行政、メディアの独立を復活させるほか、経済的・社会的問題の解決にも取り組まねばならない。また、ここ数年で国家債務が50億ユーロ以上、増加したとみられ、財政状況を明確化し、必要な対策をとることも求められる。

外交ではEU加盟に向けた取り組みが主要課題となるが、この関連では国名問題で対立するギリシャとの関係改善が重要だ。ニコラ・ディミトロフ新外相は就任後の初の訪問先としてギリシャを選んでいる。

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