ハンガリー石油最大手のMOLは20日、ドイツの特殊化学品メーカー、エボニック及び鉄鋼系複合企業ティッセンクルップと、酸化プロピレン(PO)の生産で提携すると発表した。昨年発表した長期戦略「MOL 2030」に沿うもので、中間品や特殊化学品を手がけ、付加価値の高い下流事業に守備範囲を広げる第一歩となる。
MOLは、第一期投資(2017~21年)として19億米ドルをかけ、自動車・包装材・家具業界での需要が見込めるポリエーテルポリオール(ポリウレタン用ポリオール)のプラントを建設する。今回の提携目的は、その原料であるPOの生産だ。MOLがPOの生産方法である過酸化水素法(HPPO法)の技術・製品設計ライセンスを取得する。
具体的には、生産ラインを構成する過酸化水素供給設備のライセンスをエボニックから、PO生産設備本体のライセンスをエボニックとティッセン・クルップ・インダストリアルの合弁会社から取得する。また、エボニックが特許を持つ触媒を購入する。さらに、プロジェクトの次の段階となる計画策定・設計業務(エンジニアリング)と履行業務はティッセンクルップが受注する方向だ。生産ラインの年産能力は200トン。
MOLはまた、ポリエーテルポリオール生産プロジェクト全体の基本設計(FEED)、設計・調達・工事(EPC)の顧問業務を、米プラント建設のフルーアに委託した。ポリエーテルポリオール生産では、技術ライセンスの調達先及びプラント設計の提携先を選定する最終段階に入っている。