三菱日立パワーシステムズ(MHPS)と伊藤忠商事は11日、セルビアの二コラ・テスラA石炭火力発電所向けに、世界最大級の排煙脱硫装置(FGD)を2基受注したと発表した。MHPSの欧州拠点法人と、現地建設会社イェディンストヴォ(JDS)と共同で納入する。2012年の運転開始を見込む。
二コラ・テスラA発電所は、首都ベオグラードの南西約40キロメートルに位置する。発電機6機が稼働し、合計出力は172万キロワットと、セルビア電力公社が運営する発電所として規模が最も大きい。
今回受注した2基のFGDは3~6号機(計130万キロワット)向けとなる。
同発電所では褐炭を熱源とする。褐炭は硫黄含有物や灰分が多く含まれ、亜硫酸ガスや煤塵(ばいじん)が出やすい。しかし、FGDを設置することで、亜硫酸ガスの排出量を97%削減できるという。
伊藤忠商事によると、セルビアは欧州連合(EU)への加盟に向け、2023年までに欧州環境基準への適合を求められている。国内発電量の6割を占める石炭火力発電所のほとんどにFGDが導入されていないことを踏まえ、まず総発電量の約4分の1を担う二コラ・テスラA発電所にFGDを設置することになった。
今回のプロジェクトでは、独立行政法人国際協力機構(JICA)が円借款で資金(282億円)を供与する。