カラシニコフ記念碑にナチスの銃~ロシア

先月19日にモスクワのサドーヴォエ環状道路で除幕式が行われた「カラシニコフ記念碑」。「マクドナルド」や「コカ・コーラ」に匹敵するブランド力を持つカラシニコフ自動小銃「AK-47」の設計者を讃えたものだ。しかし、思わぬミスがみつかり、一部が削り取られる結果となった。

この記念碑は、銃を構えるカラシニコフ像の背後に「悪魔を打ちのめす大天使ミカエル」像が配されている。問題となったのはこのミカエル像のほうだ。乗る馬の立つ半球状の丘にはめ込まれた金属彫刻では、「AK-47」の様々なモデルが彫られていたが、この中に、よりにもよってナチス・ドイツの自動小銃「StG44」の線描画が紛れ込んでいたのだ。武器に詳しい人が驚き、瞬く間にネットで情報が広まった。これを受けて、早速22日にその部分が削り取られた。

彫像の制作責任者である彫刻家、シュチェバコフさんは「こういう間違いが起こることはある」と落ち着いた反応だが、2014年にモスクワのベラルースキー駅で除幕された「スラブ娘の別れ」でも同じようなミスをしている。この駅は「大祖国戦争」(=独ソ戦)の前線へ向かう兵士が列車に乗り込んだところで、この像はその歴史を記念するものだ。ところが、やはりドイツの「モーゼル98型小銃」が紛れ込んだことがわかり、切り取られた経緯がある。

シュチェバコフさんは、その巨大で愛国心を強調するスタイルが受けて、注文が殺到している。忙しさがミスを生んでいるのかもしれない。

運が悪ければ命取りになりかねない失敗だが、メディンスキ文化相のコメントは「これで皆、カラシニコフとStGの区別がつくようになった」と楽観的。シュチェバコフさんの弟子は「おそらくインターネットからStGのスケッチを入手したのだろう」としたうえで、「ネットの情報をうのみにしてはいけない」という教訓まで引き出し、一件落着となった。

上部へスクロール