セルビア政府は2日、巨額の負債を抱える国営製薬会社ガレニカの株式93.7%をブラジル製薬大手EMSの関連会社であるアエリウス(ルクセンブルク)に売却する契約に調印した。取引額は1,600万ユーロ。アエリウスはガレニカの負債のうち2,500万ユーロを引き受けるほか、自主退職者への一時金も半額負担する。
セルビア政府は2015年、国際通貨基金(IMF)から12億ユーロの融資枠を取り付ける際に、赤字経営の国営企業を売却、閉鎖、事業縮小などで整理するという条件を受け入れた。負債総額が1億9,000万ユーロ(うち銀行借り入れ4,300万ユーロ)に上るガレニカも処理の対象になっていた。
政府は9月に同社株売却の入札手続きを開始した。応募条件として◇製薬企業◇年商3億ユーロ超◇ガレニカの製造事業継続◇銀行債務引き受け――を提示したところ、アエリウスのみが応札した。
アエリウスは買収に伴い、◇今後2年でガレニカに552万5,00万ユーロを投資◇従業員のうち900人を無期雇用◇非製造部門の任意退職者250人の退職金(勤務1年あたり400ユーロ)のうち半額を負担――を約束した。
クネゼヴィッチ経済相は、EMSがガレニカを南東欧および欧州事業の拠点とするため、従業員数を現行の1,400人から2,000~2,500人へ増員する計画だと話した。
ガレニカの民営化では巨額債務が大きな問題となっていた。このため、政府は国営天然ガス供給会社セルビアガスと今年8月、ガレニカ株8%と引き換えに、債務147億ディナール(約1億2,400万ユーロ)を免除した。これにより、政府保有株式が93.7%に拡大していた。(1RSD=1.11JPY)