チェコ大統領、次期首相にバビシュ元財相を指名

チェコのゼマン大統領は6日、中道右派の大衆迎合主義(ポピュリスト)政党「不満を抱く市民の運動(ANO)」を率いるアンドレイ・バビシュ前財務相(63)を次期首相に任命した。しかし同党は議会で単独過半数を得ておらず、まずは新内閣の信任を得られるかどうかが焦点となる。バビシュ氏は閣僚の多くに無所属の実務者を起用することで野党の支持を取り付けたい意向だ。

ANOは10月の選挙で29.6%を得票し、総議席数200のうち78議席を獲得した。しかし、バビシュ氏が欧州連合(EU)助成金詐取容疑で捜査を受けていることを理由に主要政党との連立が成らず、共産党(KSCM)や極右政党「自由と直接民主主義(SPD)」との閣外協力を基盤に政権運営に当たる方針とみられている。

バビシュ氏は農業化学大手アグロフェルトを経営し、チェコで2番目の富豪と言われる実業家だ。2011年、EUへの統合強化に反対し、単一通貨ユーロの導入に懐疑的なANOを発足させた。2013年の選挙でANOが第2党に躍進し、ソボトカ首相の連立内閣で副首相兼財務相に就任したが、今年5月、租税回避問題をめぐる対立で閣僚を辞任した。

今回の選挙戦では2015年にEUが定めた難民受け入れ枠に断固反対する姿勢を明確にして、移民を快く思わない多くの国民の支持を集めた。減税や、企業経営の手法を国政に導入することも約束した。

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