IMF、トルコ経済の加熱を警告

国際通貨基金(IMF)は先ごろ、トルコに対する4条協議(年次経済審査)の結果を公表し、2017年の同国経済は景気刺激策と海外の好調な経済情勢を受け16年から大きく回復したものの、今年は景気過熱が懸念されると警告した。潜在成長率を超える生産増、目標値を大きく上回るインフレ率及び経常収支赤字の拡大により国外の経済状況の変化に対する脆弱性が高まっているとし、さらなる金融引き締めなど政策の見直しを求めている。

IMFによると、2017年の同国の国内総生産(GDP)成長率は約7%と潜在成長率を上回った。今年のGDP成長率は景気刺激策の縮小などにより4%にとどまると予測する。

通年の平均上昇率が11.1%だったインフレ率については、反動から当初は1桁台まで低下するが、さらなる金利引き上げがない場合には年末までに再び2桁台に戻る可能性が高いとしている。インフレ率上昇の理由としては、通貨リラの増価とその後の需要増、コスト高及びインフレ期待の高まりを挙げた。政策の修正がなければインフレ率は高いままにとどまるとの予想だ。

経常収支赤字については、引き続き旺盛な国内需要と原油高により拡大し、対GDP比で5%を上回るとの見方を示している。一方外貨準備の水準は低いものにとどまり赤字幅の半分ほどしか確保できないとの見通しだ。

不安要因としては◇高い外国資金への依存度◇外貨準備の不足◇短期資金への依存度の高まり◇企業の対外債務の大きさから来る為替の変化に対する脆弱性――を挙げた。また建設業において過剰供給の兆しがみられることも懸念材料だとしている。その他、国内及び地政学上の情勢の変化、投資家の新興国市場一般に対する見方の変化も経済を悪化させる引き金となりうると指摘した。

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