トルコの独立系メディア大手、政府寄りの競合が買収

トルコのメディア大手、ドアン・メディア(Dogan Media)が体制派の競合デミロレン(Demiroren)に買収された。取引額は1億ユーロ弱。エルドアン大統領による言論統制が厳しくなるなかで残っていた唯一の独立系大手の買収は、メディアへの引き締め強化が一層進んでいることを示している。

ドアン・メディアは、発行部数32万部と国内最多を誇る日刊紙『ヒュリエット』、トルコ初の英字新聞『ヒュリエット・デイリーニュース』、放送局CNNトルコなどを抱える。唯一の独立系大手として業務を続け、曲がりなりにも政府批判を続けていた。

他に残っている独立系新聞には『ジュムヒュリエット』や『ビルギュン』などがあるが、発行部数が少なく、影響力は小さい。

ドアン・メディアと与党「公正発展党(AKP)」は過去にも衝突した経緯がある。2009年には脱税を理由に25億米ドルの罰金がドアン・メディアに課せられた。業界専門家は、批判的報道への報復措置だったとみている。

また、2017年に『ヒュリエット』紙が政府と軍との「ずれ」を報じた翌日には、オーナーのアイディン・ドアン氏が「燃料密輸」の疑いで裁判に呼び出された事案もある。

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