ルーマニアの天然ガスパイプライン運営事業者トランスガスは4日、東欧4カ国を縦断する新パイプライン(BRUA)の敷設工事に着手した。欧州連合(EU)のエネルギー安全保障政策に基づくもので、天然ガス調達手段の多様化を狙う。ルーマニア領を通る478キロ区間の総工費は4億7,860万ユーロ。うち1億7,930万ユーロをEU助成金でまかなう。2019年の部分開通、22年の完全開通を見込む。
同パイプラインはブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、オーストリアを縦断する国際パイプラインで、ルーマニアが黒海で生産する天然ガスや、カスピ海パイプラインとアナトリア横断パイプライン(TANAP)を通じて供給されるアゼルバイジャン産ガスをEUに供給する南回廊の一つとして予定されている。年間輸送能力230億立法メートルのうち、100億立法メートル以上がアゼルバイジャン産となる見通し。
BRUAは関連4カ国の提携で立ち上げられたプロジェクトだが、ハンガリー政府が昨夏、「ハンガリーとオーストリアを結ぶパイプラインを敷設しない」と発表し、オーストリアの送ガス網と結ばれるかどうかが危ぶまれている。