トルコ中銀が金利据え置き、中立性に疑問

トルコ中央銀行は7月24日、主要政策金利である7日物レポ金利を17.75%に据え置くことを決めた。この決定は予想外。6月のインフレ率が15.4%と過去14年間で最高となったことから、市場は1~1.25ポイントの利上げを予測していた。このため、金利据え置きの発表後、通貨リラは対ドルで4.3%安となり、対ユーロでも過去最安値を更新した。株価も5%下落した。

中銀は金利据え置きの理由として、「経済がバランスを回復している」とコメントしているが、市場関係者の納得を得るのは難しい。米国の利上げ、シリア内戦、米・イラン対立の先鋭化など、投資家が不安視する外的要因の存在は確かだが、一方で◇高インフレにもかかわらずエルドアン大統領が低金利を求める姿勢を変えていない◇エルドアン大統領が金利政策への影響強化に意欲を示した◇娘婿のアルバイラク前天然資源相を経済政策のかじ取り役である財務相に任命した――など、トルコ自らの行動が中銀の中立性に対する投資家の疑念を招いた部分も大きい。

中央銀行は今年4月以来、合計5ポイントの利上げを実施してリラ安を食い止めようとしたが、効果が上がっていない。進むリラ安でトルコの銀行の不良債権は急速に増加している。国営のジラート銀行では1年前に比べ15億リラ(2億7,200万ユーロ)増加した。

過去数年に企業買収資金を米ドル建てで調達した大手企業も債務拡大に直面している。ドウシュグループは25億ドル、ユルドゥズグループに至っては70億ドルの借り換えを迫られている。(1TRY=23.05JPY)

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