ロシアの新中型旅客機、量産化に遅れ

ロシア国営航空機メーカーのユナイテッド・エアクラフト(UAC)が開発する中型旅客機「MS-21」の量産化が遅れる見通しだ。燃料添加剤の試験が進まず、量産の前提となる連邦輸送局への型式証明申請が延期されたためだ。これによって第1号機の納入は、予定の来年5月から、2020年7月以降にずれ込むことになる。

MS-21型機はUAC傘下のイルクートが開発を手がける。1990年代から計画されていたが、技術的問題に資金難が加わり、遅延を繰り返してきた。しかし、昨年秋の試験飛行ではイルクーツクからモスクワまでの4,500キロメートルを6時間で飛び、商用運航にぐっと近づいた。

MS-21型機は定員163~211人、最大航続距離は5,000キロメートルの双発機で、エアバスA320型機やボーイング737型機に対抗する機種と位置付けられる。新しい燃料添加剤の使用で燃費・運航費用が節約できるとされているが、今回、その添加剤が計画遅延の原因となった。

なお、欧州航空安全局(EASA)はロシア連邦輸送局の型式証明を認めず、独自に試験を実施する。このため、欧州市場への導入はさらに遅れる見通しだ。

MS-21型機の開発コストは、これまでに1,580億ルーブル(21億ユーロ)を超えた。25年までに4,374億ルーブル(58億ユーロ)へ膨らむとみられている。(1RUB=1.71JPY)

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