トルコのイスタンブールで23日実施されたやり直し市長選挙は、野党・共和人民党(CHP)のイマモウル候補が与党・公正発展党(AKP)候補のユルドゥルム元首相を破って再当選した。エルドアン大統領の圧力で無効となった3月の投票よりもイマモウル候補の得票率が高くなり、政権に対する有権者の不満が改めて明確となった格好だ。この選挙が大統領にとって大きな打撃となるのは間違いなく、「エルドアン政権の終わりの始まり」とみる向きもある。
最高選挙管理委員会(YSK)が24日発表した選挙結果(速報)によると、イマモウル候補の得票率は54.21%、ユルドゥルム候補は44.99%だった。票差は3月の1万4,000票から80万5,000票強に広がった。投票率は84.5%。バカンスシーズンにも関わらず、前回3月を上回った。
イスタンブールはトルコの人口約8,200万人のうち1,500万人弱が暮らす国内最大の都市。エルドアン大統領は自身が25年前にイスタンブール市長に当選して政界の階段を駆け上ったことから、「イスタンブールを手にしたものがトルコを治める」とその重要性を強調していた。
エルドアン政権は、宗教を重視する保守層を支持基盤とする。建設プロジェクトを柱とする力強い経済成長を追い風に、15年にわたって国政・地方選挙で勝利し続けてきた。しかし、昨年の金融危機と景気後退で地盤が弱体化しつつある。イマモウル候補がAKPの強い保守的な投票区でも支持を集めたことがこれを示している。