Yandex:ヤンデックス・タクシーとウーバー、ロシア事業を強化

ロシアITサービス大手ヤンデックスと米配車サービス大手ウーバーの合弁会社MLU(ブランド名:ヤンデックス・タクシー)が、ロシアのタクシー最大手ヴィジオット(Vezyot)の国内コールセンターを取得する。代わりに自社株3.6%と現金を最大7,150万ドル支払う。年内に手続きを完了する予定だ。ただ、競合ITサービスの「メール.ru」が、昨年取得したヴィジオットの転換社債の取り決めに反しているとして取引を阻む可能性がある。

今回の取引でMLUは最重要市場であるロシアでのシェアを大幅に引き上げる。特にスマートホンの普及が遅れる地方で存在感を高める。取引の一環として、今後3年間で地方事業に80億ルーブル(1億2,700万ドル)を投資し、地歩をさらに固める意向だ。

MLUのロシア市場シェアは10.4%で、運転手の数は28万人。対するヴィジオットはシェア12.3%で運転手30万人を擁する。ただ、ヴィジオットの配車注文は電話受付がほとんど。MLUは音声認識技術で電話注文に対応する方針を示している。

ロシアでは、この2年間ほどでオンラインベースのタクシーや相乗り(ライドシェア)、カーシェアリングサービスの人気が高まっている。ただ、アプリでのタクシー注文は全体の32%に過ぎず、電話や白タクの比率が高い。それでも、専門家は2021年までにアプリが80%を占めると予想する。

ヤンデックス・タクシーの昨年のモスクワ市場シェアは8ポイント減の56%だった。「メール.ru」と移動通信サービスのメガフォンが51%を出資するシティモビル(Citymobil)が2倍の24%へ躍進し、シェアを奪った格好だ。

MLUはロシアのほか、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ジョージアなど世界18カ国でタクシー事業を展開する。今年1-3月期の売上高は前年同期比145%増の76億ルーブル(1億2,100万ドル)へ拡大した。ウーバーとの価格競争に勝利した結果、昨年秋に初の黒字転換を果たしている。

MLUへの出資比率はヤンデックスが56.2%、ウーバーが35%、従業員が5.3%などとなっている。(1RUB=1.72)

上部へスクロール