ユーロ圏の20年成長率、1.2%に据え置き=欧州委

欧州委員会は13日に発表した冬季経済予測で、ユーロ圏の2020年の域内総生産(GDP)実質伸び率を1.2%とし、前回予測(11月)から据え置いた。これは13年以来の低水準だった19年と同水準。景気回復は続くが、米中貿易摩擦、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大など下振れリスクがあり、低成長が続くとみている。

21年の予想成長率も1.2%で、前回から据え置いた。欧州連合(EU)27カ国ベースでは20年、21年とも1.4%と、こちらも据え置いた。

欧州委は米中の貿易摩擦が貿易協議の第1段階の合意で緩和され、英国の「合意なき」EU離脱が回避されたといった明るい材料があるものの、米国の通商政策や、英国とEUの自由貿易協定(FTA)交渉の行く末が不透明といった下振れリスクがあると指摘。中国を中心とする新型肺炎の感染拡大が新たなリスクになるとして警戒感を示している。

ユーロ圏の主要国の20年の予想成長率はドイツとフランスが1.1%、イタリアが0.3%、スペインが1.6%。イタリアは19年10~12月期に前期比0.3%のマイナス成長となったことで、前回から0.1ポイント下方修正した。フランスは0.2ポイントの下方修正。ドイツとスペインは0.1ポイント上方修正した。

一方、ユーロ圏のインフレ率については、20年が1.3%、21年が1.4%となり、それぞれ0.1ポイント上方修正した。雇用の堅調に伴う賃上げと、石油価格の上昇が要因。それでも欧州中央銀行(ECB)が目標値とする2%を大きく割り込む状態が続く。

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