自動運転ベンチャーのエーアイモーティブ(AImotive)と人工衛星・宇宙技術のC3Sエレクトロニクス・ディベロップメントのハンガリー2社が提携し、人工知能(AI)搭載型衛星のハードウエア・プラットホームを開発している。エーアイモーティブのニューラルネットワーク(NN)アクセレレーター(加速器)「aiウエア」を衛星向けに改良し、より多くのデータを衛星上で処理できるようにする目的だ。来年後半のプロトタイプ完成を目指す。
衛星にAIを搭載することで、これまで地上管制センターが扱ってきたデータ処理を衛星上でできるようになる。電気通信、地上・宇宙観測、衛星の自動操作、衛星・宇宙船とのドッキングサポート、小惑星資源開発などのプログラムを支援するツールとして活躍が期待される。
C3Sはエーアイモーティブを提携先に選んだ理由として、制約の厳しい組込みシステムにおけるAIの活用で経験を積んでいることを挙げた。「車載・軍用グレードのツール・技術を宇宙産業に応用した例はあまりない」とし、「我が社の持つ衛星技術のノウハウと組み合わせ、競合品に負けない堅固なシステムを完成させたい」としている。
エーアイモーティブは2015年の設立。高度な自動運転を可能にする、車載グレードのNNを開発する。本国ハンガリーのほか、米カリフォルニア州、日本にも拠点を置く。
C3Sは2012年に設立された。欧州宇宙機関(ESA)の系外惑星探索望遠鏡「PLATO」、宇宙天気・宇宙線をリアルタイム観測するハンガリー衛星「RadCube」の開発に携わる。また、X線と紫外線センサーを用いて太陽風と上層大気の相互作用を観測するプロジェクト「SMILE」にも参加している。