人工知能(AI)を活用するスロベニアのオンライン機械翻訳サービス事業者タイア(TAIA)が、クロアチアのベンチャーキャピタル、フィル・ルージュ・キャピタルからシード投資として120万ユーロを調達した。西欧及び米国での事業拡大と、技術開発が狙い。
タイアは2018年以来、企業・事業者向けのワンストップ翻訳サービスを運営する。翻訳事務所とグーグル翻訳の隙間を埋めるプラットフォーム提供が目的だ。これまでに機械翻訳ソフトはベータ版まで開発が進んでいる。外国進出を狙う電子商取引(EC)事業者などの需要を見込む。
現在のところ、日本語を含む97言語に対応する。ニーズに合わせて、◇機械翻訳のみ◇専門家による訳文修正◇翻訳先の言葉が話されている現地の文化を考慮したチェック――と精度を指定できる。機械翻訳であれば数秒で仕上がる。
課金はコンテンツの分量と精度に応じる。ただ、ユーザーごとに翻訳履歴を記録し、以前に翻訳したことのあるコンテンツには課金しないため、分量に応じた翻訳料に比べて最大50%の割引が可能という。
プラットフォームでコンテンツをアップロードし、指定のフォーマットで訳文を受け取ることもできる。現在、ウエブサイト、カタログを含め、65種類のファイル形式をサポートしている。
タイアはこれまでに1,800人を超えるユーザーを獲得、累計で1,500万語以上を翻訳してきた。取引先には清涼飲料の墺レッドブルや化学・事務用品の米スリーエム(3M)、スポーツ用品流通の墺ヘルヴィス、ドラッグストアの独ミュラーなどが名を連ねる。