熱可塑性プラスチックの加工を手がける独ジモーナは9日、トルコの同業MTプラスチックの株式70%を買収すると発表した。グループの新欧州戦略に基づき、発泡塩化ビニル(PVC)事業の強化を図る。競争当局の承認を経て年内に手続きを完了したい意向だ。取引金額は明らかにされていない。
MTプラスチックは発泡PVCシートの国内最大手で、デジタル印刷、広告、建築などの各業界に製品を供給する。年商規模は1,100万ユーロ強で、このうち6割を欧州などへの輸出で稼ぎ出す。
ジモーナによると、MTプラスチックは採算性が高く、スリムで機能性の高い事業組織を有する。トルコを本拠とし、国外との取引が大きいことから、欧州・中東の新規顧客の開拓につながると見込む。
ジモーナは新戦略の一環として、発泡PVCシートで欧州最大手になる目標を掲げる。品質・取扱品目数・市場シェアのいずれでもトップを目指しており、トルコに地歩を築く今回の買収は「理にかなう」と説明する。
MTプラスチックは2007年の創業。北部デュズジェに本拠を置く。年商規模は1,100万ユーロ強。約50人を雇用する。
ジモーナは1857年に皮革加工業者として創業した。ドイツ西部のキルンを本拠とする。第二次世界大戦後にプラスチック加工を手がけるようになった。従業員数は1,500人。
2019年は売上高で3.5%増の4億3,250万ユーロ、営業利益(EBIT)で11.4%減の2,940万ユーロ、純益で10.3%減の975万ユーロを計上した。