墺保険大手VIG、蘭アエゴンから中東欧事業を買収

保険大手のウィーン・インシュアランス・グループ(VIG、オーストリア)は11月29日、蘭競合のアエゴンから中東欧事業を買収すると発表した。取引金額は8億3,000万ユーロ。これにより、VIGはハンガリーで最大手となるなど、中東欧での地位をさらに固める。

取引の対象となるのは、ハンガリーのほか、ポーランド、ルーマニア、トルコの事業だ。生命・損害保険、年金基金、資産運用会社を取得する。昨年の保険料収入は4カ国合わせて約6億ユーロ、純利益は5,000万ユーロだった。

VIGは11月26日発表の2020年1-9月期決算で22.7%の大幅減益を記録していただけに、今回の大型買収は市場関係者に驚きをもって受け止められた。

VIGは決算報告に際し、中東欧における新型コロナの影響について「流行第一波の影響は西欧の方が東欧よりも大きかった」とコメントした。ただ、第二波では感染状況が悪化しており、今後の予想は難しい。

ただ、エリザベート・シュタッドラー社長によれば、中東欧は「危機を経験してきている」ため、保険が重視される傾向にある。また、VIGは同地域で自賠責保険や家財保険など必須の商品を主に取り扱っており、これも事業の安定につながっている。

VIGは仏アクサの中欧事業の買収を試みたが、国内競合の保険会社ユニカに敗退した経緯がある。ユニカは今年2月に同事業を10億ユーロ強で買収した。

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