ポーランドをはじめとする中欧4カ国で、最新技術を応用して農業生産の向上を図るアグリテックに対する関心が高まっている。欧州連合(EU)という地理的にも経済的にも規模の大きい市場に属している強みを生かし、同業界が食料生産の合理化や付加価値の増大による成長を遂げると期待されているようだ。
英国のアグリテック関連企業・団体が集まる機関「アグリテックE」は、同分野におけるポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアの中欧4カ国(V4)と英国の企業間の提携を推進する枠組み「英国・V4ミッション」を立ち上げる。3月に開催するオンラインセミナーをはじめ、両国企業間の対話・情報交換の機会を設けることで、中欧における英国技術の応用を進めていきたい考えだ。ドローン、ロボット、センサー、農業管理システムを用いた精密農業の需要を見込んでいる。将来的には、ルーマニアやブルガリアなども対象にしていく方針だ。
在ワルシャワ英国大使館のミハウ・ソブチク・デジタル担当官によると、ポーランドは農産品の質の高さを地盤に、「欧州の食品工場」になることを目指している。食品産業は国内総生産(GDP)の8%を担い、業界別で4番目に位置する。貿易黒字も増え続けている。
耕地面積は1,550万ヘクタールと中欧4カ国全体の58.2%を占める大きさで、アグリテック関連企業にとっての魅力も大きい。課題としては◇戸別平均耕作面積が10ヘクタールと小さいことにどう対応するか(英国は70ヘクタール)◇施肥の減量(英国より20%多い)◇食料生産の効率化・品質向上◇環境負荷の低減――などが挙げられる。
加工部門では、製品・供給・営業・事業モデルの刷新への関心が高い。保存法やろ過法、包装材へのナノテクノロジーの応用に向けた研究開発投資も見込める。
製品開発では、有機食品やダイエット食品といった、より付加価値の高い製品を生み出すことでバリューチェーンの向上が可能だ。業界が成長すれば、最終的に雇用の拡大にもつながる。