航空宇宙関連技術の持ち株会社米ゼリアントは3日、チェコの戦略提携先であるゼリアント・ヨーロッパが、新商品のナノ潤滑剤「ゼリMC」及び「ゼリL」の試験を行い、自動車エンジンの摩擦を大幅に低減する効果を確かめたと発表した。環境配慮型製品に焦点を定める同社は、推定779億米ドルの車両向け特殊潤滑剤市場で確かな地盤を築きたい意向だ。
ゼリアント・ヨーロッパは昨年以来、ドイツ、イタリア、チェコの自動車メーカーと提携し、自社のナノ潤滑剤の試験を重ねてきた。その結果、保守作業を低減するとともに、出力、騒音、排ガス、燃費のいずれでも大きな改善効果があることが分かったという。
ヘンリー・ビザ最高経営責任者(CEO)は、「ゼリ」ブランド製品について、「性能に優れ、広い用途に対応する」と自信を示した。「特に、過酷な条件下において、車両エンジン及び機械部品の潤滑剤として競合をしのぐ」という。今回の試験のほかにも、世界16カ国で鉱業、製造業、他の運輸手段を対象にテストが進められている。
ゼリアント・ヨーロッパはチェコの首都プラハに本社を置く。航空宇宙産業向けの最先端グリーン技術を見出し、米国など世界に売り出す目的で設立された。すでに発売されている製品や、商品化目前のユニークな製品に焦点を当てている。
ゼリアントは「ゼリアント・アエロスペース」の商号で事業を展開する。宇宙産業向けの革新的かつ環境にやさしい技術の取得・開発・商品化を手がける。2019年には電動垂直離着陸機(eVTOL)「ヘイロ(Halo)」の開発特許・権利を取得した。