ロシアIT大手ヤンデックス、西欧の食品宅配市場へ進出

ロシアIT大手のヤンデックスが西欧で食品宅配サービス事業を立ち上げる。ロシア及びイスラエルでの成功を踏まえたもので、まずはフランス、英国へ進出する。受注から配達まで10~15分という速さが売りだ。

ヤンデックスによると、6月末までにパリ中心部を対象として新サービス「ヤンゴ・デリ」を開始する。独自アプリを通じて受注し、ダークストア(ネットストア専用の物流施設)から配達する。英国では年内にロンドンで事業をスタートさせる。

「ヤンゴ」は配車・宅配サービスなどの統合サービス「ヤンデックス・ゴー」の国外事業で、昨年末にイスラエルで食品宅配をスタートした。ロシアでは2019年から「ヤンデックス・ラフカ」の名称でサービスを提供し、約2,500種の商品を扱う。

ロシアでは昨年、新型コロナのパンデミックを機に電子商取引(EC)の利用が拡大し、オンライン食品宅配業界の売上高は前年の3.6倍の17億1,000万ユーロに急増した。調査会社インフォラインは、今年はさらに33億1,000万ユーロへ上昇すると予測している。

ロシアのEC関連事業者で西欧に進出しているところは少なく、大手ではこれまでのところオゾン、ワイルドベリーなどがあるだけだ。スタートアップでは、ロシア人チームが昨年、ロンドンで立ち上げたオンライン食品宅配サービス「ジフィー(Jiffy)」が先月、東欧の投資家からシードラウンドで206万ポンドを調達した。ロシア人実業家イリャ・シロコフ氏が16年に創業したマーケットプレイス「ジューム(JOOM)」は、モバイルアプリを通じて中国製品を安値で購入できるのが特徴で、フランスを中心に西欧でも人気が出ている。

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