チェコ電力CEZ、Q2決算で67.7億コルナの赤字計上

●炭鉱事業における減損処理が影響

●電力販売の堅調から、通期の調整済み純利益予想は引き上げ

チェコ電力最大手で国営のCEZが10日発表した2021年4-6月期(第2四半期)決算は、最終損失が67億7,000万コルナ(3億2,282万米ドル)に膨らんだ。炭鉱事業における減損処理が足を引っ張った。一方、電力販売の堅調から通期の調整済み純利益予想は若干引き上げた。

減産処理の対象となったのは、セヴェロチェスケー・ドリ褐炭鉱だ。石炭需要の低下が予想されることに加え、チェコが2038年までに石炭火力から撤退する方向であるため、資産価値を見直し、87億コルナの損失を計上した。電力価格と排出権価格の差額が年初以来、半減したのを受けて、23~25年の見通しを引き下げたことも勘案した。CEZは、電源構成に占める石炭火力の割合を、20年の36%から30年に12.5%へ引き下げる計画だ。

マルティン・ノヴァク最高財務責任者(CFO)は、市場動向を受けた炭鉱・石炭火力発電所の減損処理はこれで終了し、今後改めて実施することはないと説明している。

第2四半期の営業利益(EBITDA)は前年同期比9%減の117億コルナ(4億6,090万ユーロ)だった。減損処理などの特別損益を除いた調整済み純利益は16%増の29億コルナ(1億1,420万ユーロ)だった。

事業が全般的に好調だったことから、通期純利益(調整済み)の見通しは従来の170億~200億コルナから180億~200億コルナへ、上方修正した。継続事業の営業利益(EBITDA)は550億~570億コルナとなる見通し。

第3四半期(7-9月期)は、ブルガリア子会社の売却益(86億コルナ)でキャッシュフローが拡大する。CEZは、外国資産売却で得た資金を債務圧縮、投資、配当に回すと説明しているが、この売却益の用途・配分についてはまだ具体的に決まっていない。

アナリストは資産売却や排出権価格の上昇にもかかわらず、CEZの採算性が今後上昇するとみている。(1CZK=5.10JPY)

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