●電気自動車の登録総数はわずか1万台
●メーカー支援、購入時助成、充電インフラ整備を政策の柱に
ロシア政府は電動車(EV)市場の創造・育成に向けて、助成金を含む様々な措置を実施する方針だ。中国のゼロエミッション車政策に範を取ったもので、2030年までに乗用車・小型商用車(LCV)販売台数に占める電気自動車(BEV)の割合を10%へ引き上げる目標。ロシアのBEV登録総数は現在1万台に過ぎず、政府の試みはEV市場を一から作り上げるのに等しい。
政策の柱としては(1)メーカー支援(2)購入時助成(3)充電インフラ整備――を掲げる。(1)についてはすでに、ロシアに生産拠点を持たない外国メーカーと、BEV現地生産・販売に向けて交渉を開始している。また、国内企業も含め、低排出車両の開発生産に対する低利融資を実施する方向だ。
(2)については、販売価格が250万ルーブル(3万米ドル)以下のBEV購入時に価格の最大25%を助成する。
(3)については、2024年までに急速充電設備を2,900基、30年までに2万7,000基整備する計画だ。
政府はEV市場の育成に総額5,900億ルーブル(67億米ドル)の投資が必要とみている。このうち5,000億ルーブル(67億ドル)を民間投資が占めると予想する。政府資金の多くは充電インフラの整備に充てるが、EV代替技術や燃料電池の開発支援も予定されている。
2020年のロシア乗用車・LCV市場規模は推定160万台だった。欧州ビジネス協会(AEB)は市場回復の勢いが当初予測を上回ったことから、今年の見通しを9.8%増の176万台へ上方修正している。(1RUB=1.48JPY)