米ニュースケール、ポーランド2社とSMR開発で提携

●KGHMの自家用石炭火力発電所をSMRに転用し、脱炭素化を進める

●計画通り2029年に建設できれば、ポーランド初のSMR導入例に

ポーランドの精銅大手KGHMとコンサルティング企業ピエラ・ビジネス・エンジニアリング(PBE)、米ニュースケール・パワーの3社は23日、小型モジュール原子炉(SMR)の開発提携で基本合意書(MoU)を交わした。KGHMの自家用石炭火力発電所をSMRに転用し、電源・熱源の脱炭素化を進める狙い。計画通り2029年に建設できれば、ポーランドで初めてのSMR導入例となる。

MoUによると、KGHMとPBEは石炭火力発電所をSMRに転用するのにニュースケールの技術が適しているかを調査する。また、SMRの新設や、産業用電力・熱エネルギーの供給源としても実用化が可能かどうかを探る。技術、採算、資金、組織、法・規制面などから多角的に検討する。

KGHMのマルチン・フルジンスキ社長は、「SMR技術は環境保護だけでなく、事業コストの大幅削減にもつながる」とその意義を語った。PBEのピョ―トル・ピエラ取締役は、「エネルギー分野では今後、モジュール型発電設備が非常に重要な意味を持つことになる。ポーランドなど欧州連合(EU)諸国のエネルギー転換に不可欠な技術で、EU環境政策『グリーンディール』の実現に向けて『共通の利益をもたらす』ととらえられているからだ」とその将来性を強調した。

ニュースケールのSMRは、これまでのところ、米原子力委員会から型式認定を受けている唯一のSMRだ。モジュール当たりの出力は77メガワットで、需要に応じて最大12基連結することができる。

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