ジョージア中部の町チアトゥラでロープウェーの改修工事が行われ、今年、4本が改めて開通した。ソ連時代に建てられたままの「レトロ」なロープウェーとして知られていたが、寄る年波には勝てず、安全性を理由に2016年運転が中止された。深い谷に位置する同町では、通学通勤を始め、移動の便が改善する。
ジョージアの山間部にある町や村では、ロープウェーが重要な住民の足だった。しかし、その大半が50年以上前に開通し、手入れもされてこなかった。
そのなかでも有名なのがチアトゥラのロープウェーだ。マンガン鉱山で栄えた町だが、労働者が険しい山を登って通勤せねばならず、なかなか労働生産性が上がらないという問題を抱えていた。
状況が変わったのは1953年。ソ連で最初ともいわれる旅客用ロープウェーが開通し、60年代までにその数は26本に増えた。人だけでなく鉱石を運ぶ貨物用ロープウェーの数も50本に上った。鉱山に勤める人に限らず、町に暮らす人が皆、乗るようになった。
しかし、1991年のソビエト崩壊後、鉱山の多くは閉鎖され、チアトゥラの人口はどんどん減った。ロープウェーは改修されることなく使われ続けたが、危険が大きすぎるとしてついに運行が中止された。近代化されない古いロープウェーのうちのいくつかは、再稼働しないまま「国民遺産」として保存される予定だ。