●バルト海をデジタルで再現し、様々なシミュレーションを行う
●汚染の進む同海の環境回復と経済成長を両立させる狙い
ラトビアがバルト海のデジタルツインを開発するイニシアチブを立ち上げた。気候変動の影響に対処する狙い。現実世界をデジタル空間で再現し、さまざまなシミュレーションを可能にするデジタルツインを用いることで、海洋環境の自然回復を確保しながら経済成長を促進できるという考え方がその基盤にある。
デジタルツイン計画は先月、次世代移動通信規格(5G)業界関連者が集まる5Gフォーラム「5Gテクリトリー」で発表された。汚染の進むバルト海のデジタルツインを整備し、人間の活動と海洋の関係をシミュレーションすることで、海洋に関係するイノベーションをより良い形で計画・実現するのに役立つと期待されている。
バルト海の浄化計画「ミッション・シー2030」の実行を担当するラトビア開発投資庁のヤニス・ニガルス氏は、新ソリューションの導入に向けた産業間提携を支援し、環境回復と成長を両立させられるという立場を示した。
マリオシュ・ニコラウ氏(5Gストラテジスト)は、デジタルツインの実現に必要なものとして◇データ・海洋計測器の設置◇電気通信および人工衛星経由のコネクティビティ―◇機械学習(ML)および人工知能(AI)を備えたデジタルツイン・エンジン◇政治的アクション・法制整備――などを挙げた。
作業部会では、◇環境汚染・劣化に関し、観測が必要な項目を特定◇既存データをどのようにデジタルツインに組み込んでいくか◇デジタルツイン・エンジンの構築法◇政治面・法制面での準備――などのテーマについて、関連分野の専門家が意見を交換した。