●ポーランド、チェコ、スロバキアの3カ国が販売対象
●人工肺システム「ART」は低侵襲性が特長
イスラエルの医療機器メーカー、インスピラ・テクノロジーズ(Inspira Technologies)は9日、アラブ首長国連邦(UAE)の医療機器販売イノヴィメッド(Innovimed)と、中欧3カ国における人工肺システム「ART」の独占販売に向けた基本合意を結んだと発表した。臨床試験の実施・規制当局への承認申請でも協力する。
「ART(拡張型呼吸技術)」は意識・自発呼吸がある患者を対象にインスピラが独自開発した低侵襲的呼吸補助システムだ。内腔が2つあるダブルルーメン・カニューレ(切開部に挿入するチューブ)を通して頸静脈から血液を取り出し、ガス交換して再び頸静脈へ戻す。これにより、血液の酸素濃度を十分に保つ。
インスピラによると、重症化する前にARTを使用することで、挿管・気道切開を伴う、より侵襲的な強制換気法を避け、合併症などを予防できる。ARTはまた、医療機関で使われている一般の機器と互換性があり、スムーズに導入できるという。
イノヴィメッドの独占販売権はポーランド、チェコ、スロバキアの3カ国が対象。規制当局の承認を経て、本体を1,552台以上、使い捨てユニット5万9,040個以上を医療機関に販売する方針だ。
インスピラはテルアビブに近いラーナナに本社を置く。10月にはスペインおよびポルトガルにおけるARTの独占販売でWAASグループと提携契約を結んだばかりだ。
一方、イノヴィメッドは欧州、中東、アフリカの新興市場で医療機器を販売する。UAEのラスアルハイマのほか、ポーランドの首都ワルシャワに拠点を構え、米バクスターなどの世界大手と提携してきた。