トルコ、重要技術を内製化し競争力を強化

●政府の技術開発イニシアチブ「国家技術運動」の一環

●起業、AI、宇宙開発、車などの分野でイノベーションを狙う

トルコのバランク技術・産業相はこのほど、同国が産業用技術の開発でグローバルなプレイヤーになりつつあるとの認識を明らかにした。国内における最新技術の開発の現状についてコメントした際に述べたもので、政府の掲げる技術開発イニシアチブ「国家技術運動」の枠組みの中で世界市場における競争力向上を図っている。

「国家技術運動」は、質の高いハイテク製品を国産化するため人材やインフラの強化を図ると共に、経済的・技術的な独立性の確保を通じて重要な技術のブレークスルーにつながる政策を実施することを目的としている。これまでに政府は宇宙開発や人工知能(AI)に関する戦略を発表し実施してきた。

同相によると、国内では起業家のエコシステム(循環経済圏)が育っており、世界に向けて斬新なビジネスモデルや製品、サービスが生み出されている。エコシステムを支える投資は多くが研究開発とイノベーションに向けられている。同相はまた、現在5社の同国発のユニコーン(評価額10億ドル超の未上場企業)の数が来年には10社に倍増するよう期待を示すと共に、同国のエコシステムの機能に自信を示した。

宇宙開発では昨年、「国家宇宙プログラム」を発表し、2030年までに10ある目標のすべてを達成することを目指している。同相によると、打ち上げられるロケットには自国開発のハイブリッドエンジンを搭載する方針。すでに月探査で利用する機体の設計と打ち上げ計画の検討が開始されている。今年からは推進システムの設計を開始した。

昨年には「2021-25年国家AI戦略」も発表されており、モビリティ、スマートライフ、健康医療、5G戦略、デジタル化などのテーマについて来年から実施していく予定だ。

同相はこのほか、国民電動車でCセグメントのSUVモデル「トッグ(Togg)」が米国の家電見本市CESで注目を集めたと述べた。同車は技術認証の取得後、2023年前半には販売される予定。

防衛産業では同国初の視界内射程空対空ミサイル(WVRAAM)の研究開発が終了しており、視界外射程空対空ミサイル(BVRAAM)と合わせての発射実験も実施された。また液体発射エンジンの開発プロジェクト「RAMAJET」は最終段階に差し掛かっており、2022年にも超音速エンジンの試作品が発表される予定だ。

同相によると、技術・産業省は防衛産業に重点を置いており、それを通して民間の重要部門とトルコ科学技術会議(T BITAK)の技術開発の下支えを行っている。

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