豪リオ・ティント、セルビアのリチウムプロジェクト再開に意欲

●同プロジェクトの規模は24億米ドルと予測

●政府は1月、反対選動を受けて選挙対策で開発免許を取り消し

豪資源大手リオ・ティントがリチウム開発プロジェクトの再開でセルビア政府との対話の可能性を模索している。埋蔵量の多さと需要拡大の見通しから「セルビアにとっても経済成長のチャンス」と働きかけているもようだ。同プロジェクトの規模は24億米ドルと予測されていた。

セルビア西部ヤダル峡谷のリチウム開発をめぐっては、環境保護団体や地域住民を中心とする反対運動が強まり、政府が1月、4月の選挙をにらんでリオ・ティントの開発免許を取り消した経緯がある。リオ・ティントのサイモン・トンプソン会長は5日の株主総会で、「ヤダルに埋蔵されているリチウムは、現行の欧州需要の90%を満たせると推測されている」と指摘。セルビアが下流事業を構築し、経済成長を推進するチャンスだという見方を示した。

ヤコブ・スタウショーン最高経営責任者(CEO)は、リチウム事業の立ち上げに邁進し、昨年12月に買収したアルゼンチン・リンコン・プロジェクトを加速させることに意欲を示した。そのうえで、「ヤダル・プロジェクトをあきらめたわけではない」と言明。環境、社会、ガバナンスのいずれをとっても「非の打ち所がない」計画だからだ、と話した。

セルビアの4月選挙では、アレクサンダル・ブチッチ大統領が大差で再選を決めたが、議会選挙では同大統領の与党・進歩党(SNS)が得票率を落とし、単独過半数は成らなかった。

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