●サハリン2関連の減損損失は16億ドル
●ノルドストリーム2の貸倒引当金は11億ドル
英石油大手シェルは5日、ロシア事業からの撤退に伴い、2022年1~3月期に42億3500万ドル(約5500億円)の損失を計上したと発表した。一方、原油や天然ガスの価格高騰などにより、純利益は前年同期比26%増の71億1,600万ドルを確保した。売上高は51%増842億400万ドルだった。
シェルはロシアのウクライナ侵攻を受け、2月末にロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」や、シベリアなどで進めてきたロシア国営ガスプロムとの合弁事業から撤退すると発表。3月にはロシアからの資源調達を段階的に打ち切るほか、ロシア国内での石油製品の販売も停止し、ロシアから完全撤退すると表明した。
ロシアからの撤退費用の内訳は、サハリン2関連の減損損失が16億ドル、ロシア産天然ガスをドイツに運ぶパイプライン「ノルドストリーム2」の貸倒引当金が11億ドルなどとなっている。
シェルはロシア産資源の調達をめぐり、3月初めの時点では原油の購入を継続して安定供給を図ると説明していた。しかし、ロシアへの経済制裁と整合性がとれないとして欧州を中心に批判が強まったため、方針を転換。原油のスポット購入を即座に停止し、他の資源についても長期契約は更新しないと表明した。原油に関しては、規模の小さい独立系企業と締結した2件の契約を除き、年内にすべての長期契約に基づく取引が終了するとの見通しを示している。