●政策金利を1.5ポイント引き下げ、9.5%に
●物価上昇は鈍化、金融緩和を通じ経済を下支え
ロシア中央銀行は10日の金融政策決定会合で、主要政策金利の7日物入札レポ金利を11%から1.5ポイント引き下げ、9.5%とすることを決めた。利下げは4会合連続。ウクライナ侵攻前と同じ水準に戻した。14日から新金利を適用する。
中銀は5月26日の緊急理事会で3ポイントの利下げを実施したばかり。物価の上昇ペースが鈍化し、インフレ圧力が下がる中、金融緩和を通じて経済の下支えを図る。
同国のインフレ率は5月に17.1%となり、前月から0.7ポイント縮小した。通貨ルーブル高と内需の抑制が大きく、中銀の3日時の推定では17%と予測を上回るペースで減速している。今後について中銀は、今年の年間インフレ率を14~17%とし、4月の予測(18~23%)から引き下げた。来年は5~7%まで低下し、2024年に4%の目標値に戻ると予想する。
中銀はウクライナ侵攻直後の2月28日、緊急理事会を開き、ルーブル防衛とインフレ抑制のため10.5ポイントの大幅利上げに踏み切った。その後、外貨の購入制限や天然ガス代金のルーブル払い要請などによりルーブルは回復。中銀は4月に入り利下げに転じている。
中銀は声明で、経済を取り巻く環境は依然厳しく、実質所得の減少に伴い消費活動も低迷していると指摘。持続的な輸入減少に伴う強い供給制限の中でディスインフレ効果を得るためには、輸出を持続的に成長させ、貿易黒字高を維持する必要があるとし、今後の会合でさらなる利下げを行う可能性を示した。