スイスが対ロ追加制裁を発表、金輸入禁止でEUなどと共同歩調

●ロシア最大手銀ズベルバンクの資産凍結も

●ロシアと第三国との農産物取引や石油供給は制裁対象とせず

スイス政府は3日、ウクライナに軍事侵攻したロシアへの追加制裁を発表した。欧州連合(EU)が7月に決定した追加制裁と足並みを揃え、同日付でロシア産の金や金製品の輸入を禁止する。ロシア最大手銀行ズベルバンクの資産凍結も盛り込んだ。

ロシア産の金をめぐっては、6月下旬の主要7カ国首脳会議(G7サミット)で日米英とカナダが輸入禁止で合意。EUも7月20日の大使級会合で金禁輸を含む追加制裁を決定した。ロシアにとって金は天然ガスや原油に次ぐ主要な輸出品目であり、西側諸国が足並みを揃えて禁輸に踏み切ることで、プーチン政権の資金源に打撃を与える狙いがある。

スイス政府は今回の決定について、金の禁輸措置が「時間的にも内容としても、直ちに講じるべき緊急措置と判断した」と説明。ズベルバンクの資産凍結を含め、EUなどと足並みを揃えることで対ロ制裁の抜け穴を防ぎ、プーチン政権への圧力を強めることができると強調した。一方、ウクライナからの穀物輸出の停滞や世界的なエネルギー価格の高騰を踏まえ、ロシアと第三国との農産物の取引や石油供給については制裁の対象としない方針を表明した。

スイスは金精製市場で支配的な立場にある。世界自然保護基金(WWF)が2018年にまとめた時計・宝飾品分野の報告書によると、世界で採掘される金の60~70%がスイスで精製されている。

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