●提供予定の資金規模は220億ユーロ
●EUは同国の状況改善の進捗の遅さを問題視
欧州委員会とハンガリー政府は12月22日、2021~27年の欧州連合(EU)中期予算の執行枠組みを定めたパートナーシップ協定に署名した。欧州委はハンガリーが求めていた結束政策に基づく220億ユーロの資金提供を承認したものの、司法権の独立や学問の自由、性的マイノリティの権利などEUの基本原則を順守していないとして、状況が改善されるまで同資金の交付を凍結する方針を明らかにした。
結束政策はEU域内の経済・社会・地域的格差の是正と持続可能な成長の促進を目的とする投資政策で、中期予算枠組みで全体の約3分の1を占める。ハンガリーに配分される資金は恵まれない子供たちの教育、鉄道輸送システムの近代化、ブロードバンド網の整備などのプロジェクトに充てられることになっている。
欧州委のフェレイラ委員(結束・改革担当)は「ハンガリーはEU市民の政治・社会・経済的権利を法的に定めた基本権憲章の重要な項目を満たしていないと判断した。結束政策に基づく投資はEUの規則や価値観に沿って実施されなければならない。問題解決に向け、ハンガリー当局と引き続き協議していく」と述べた。
ハンガリーに対するEU予算の執行をめぐっては、12月の閣僚理事会で、結束基金から同国に配分される資金のうち63億ユーロの交付を凍結することを決定していた。法の支配の原則に違反した加盟国に対し、EU予算の執行を一時停止することができる規則を適用するもの。ハンガリー側は同規則の発動を回避するため、EU予算の支出先や使途を監視する独立機関および汚職対策のための作業部会の設置など、17項目の改善策を提示していたが、進捗が遅いとして凍結を決めた。