チェコ大統領選の決選投票、退役将軍のパベル氏が勝利

●得票差は16ポイントと第1回投票から大きく広がる

●投票率は過去最高の70%

チェコで1月27、28日に実施された大統領選の決選投票で、退役将軍のペトル・パベル候補(61)が富豪でポピュリストの前首相アンドレイ・バビシュ候補(68)を破り勝利した。得票率はパベル氏が58%、バビシュ氏は42%。第一回投票時には0.4ポイントの僅差だった。パベル氏は3月9日に大統領に就任する。

現職のゼマン大統領の任期満了に伴い行われた今回の大統領選では、パベル氏が示す親欧州で民主主義を尊重する姿勢と、バビシュ氏の欧州連合(EU)に懐疑的で親ロシア・中国な傾向という価値観の違いが争点となった。パベル氏は都市部や若年層の票を多く集めたほか、前回投票で3位となったダニュシェ・ネルドヴァ氏(44)など他の候補の支持を得たことが当選につながった。投票率は過去最高の70%に達した。

前職が北大西洋条約機構(NATO)の軍事委員長のパベル氏は中道右派を自任し、同性婚を支持するなどリベラル的な側面も持つ。中道左派の5党連合を率いるフィアラ首相も同氏寄りの立場だ。パベル氏は大統領選を通じて露になった社会の分断についても触れ、国民に対し現在と未来の問題はともに解決することができると呼びかけた。

チェコの大統領は首相や裁判官、中央銀行総裁の任命権のほか、政府の外交政策についても一定の発言権を持つ。反移民で親ロ・親中的な言動が目立つ現職と異なり、パベル氏は外交面でも欧米と歩調を合わせることが予想される。

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